【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第34回)1月18日〜1月24日
[次世代短歌プレミアム]
[短歌日記]
ナイフのように爪先立ちで 第34回
toron* 日記 1月18日〜1月24日
壊してはまた建て直す伽藍堂たぶんわたしの奥にもあって
1/18(土)
午前中、文フリの最後の荷造り。今回、あたらしく導入した什器でややかさばる感じ。
それでも冊子自体は先に現地へ送っているので、そこまで重くはないのである。
この什器も冊子の段ボールに一緒に入れて返送できるくらい、当日は売れてほしいのだが。
午後はならファミリーにまで夏生さんと買いもの。
店頭受取にしていた衣装ケースを引き取ったり、明日の文フリで会う人たちのへのお土産を買ったり、地下の八百屋でやや安くなってる野菜を物色したりする。
奈良県民は、休日のレジャーの行き先がたいがいイオンであり、自分もその習性にどうやら染まりつつある。
晩ごはんは鶏白湯的な鍋。鶏もも肉、白菜、水菜、豆腐を入れる。KALDIで買ったもへじのつゆを使ってみたのだけど、そこまで濃くなくてあっさりしていた。
食べながらアニメの『メダリスト』の2話目を見る。通常運転でわたしも夏生さんも「良かったね……」と泣きながら見る。
マンガの方の2話目とか、さすがに泣いたりしてなかったはずなのだが、こんな情緒では全話で号泣することになってしまうし、名港杯編になったら顔面が涙で溶ける可能性さえある。
明日は文フリで、水曜日にはメダリストの新刊と公式ファンブックが出る。なんとかモチベーション高いままでいろいろ乗り切りたい。
1/19(日)
京都文フリ! 当日!
ここ数年はずっと参加しているが、今年は6時に起きて、かたつむりの水槽の掃除をして常備菜を3種類仕込んだので、もうこれだけで200点満点もらいたい。
去年の京都文フリも奈良から参戦したのだが、今年はようやく賢くなって近鉄ではなくJRで向かったら、最初からずっと座れてラッキーだった。JR奈良駅も六地蔵駅も始発ということに去年は気がつかなったのである。
現地で無事にエノモと合流。設営の際に、エノモに新什器を組んでもらったら、案の定、わたしより格段に上手かった。
ブース数は去年より多いみたいだし、来場数も過去最高だったようだけど、印象的にはけっこうおだやかだった。
まあ、今回新刊はないからそんなものといえばそんなものだけど、ブースを出すのは新刊のときのみにした方がいいのかな、とかいろいろ考えさせられることも多かった。
京都は塔もブースを出すし、今は文フリ大阪より場所的にも行きやすいから、極力参加したさはあるのだけど…… あと、たんたん拍子って、フリーペーパーもここ数年出していないので、何か用意するか、みたいな話を、ブースに座ってエノモといろいろ話したりした。
とはいえ『イマジナシオン』も小俵さんの『レテ/移動祝祭日』もそこそこ動いてありがたかったし、返送する荷物に什器を押し込められるくらいは売れてややほっとした。
河原こいしさんや石村まいさんに、歌集や個人賞の感想を伝えられたのも良かった。
そういえば、漫画家のスケラッコさんのご家族が、スケラッコさんのイラスト付きの海外旅行記を出されていたので、3種類ほど買う。自分はけっこう文フリでエッセイとか日記本、旅行記とかのエリアを見るのが好きだ。
打ち上げは京阪三条の「じろく亭」で。小俵さんに「京都のおばんざい的なもの」とリクエストされたので探したのである。
わたしもはじめてなのだけど、黄桜の直営店で、クラフトビールも黄桜のものが飲めて楽しかった。
エノモは奈良に宿をとっているとのことで、一緒に近鉄で奈良まで帰る。
猿沢池近くのホテルということで、途中まで送っていったのだけど、22時にもなるとさすがの観光地もまっくらだった。今修理中の興福寺の足場が夜から浮き上がって見えた。
1/20(月)
きのうは22時過ぎには帰宅して、日付が変わる前に寝たはずなのにまったく疲労が取れていなくて自分でも驚愕する。
おそらく、ないところから無理に錬成してしまった社会性と対人コミュニケーション能力の負荷が全身にかかっているのだろうと思われる。
きのうつくっていた常備菜と冷凍ハンバーグに助けられて、早々に横になる。
1/21(火)
引き続き疲労困憊。
文フリで1年分くらいの会話と社交能力を信用貸付してまで失ってしまった感がある……誰とももう1年くらいは話さなくても大丈夫です、という気持ちで過ごす。
しかし、職場で岬さんが、最近ドラクエビルダーズにはまっていて、作っている家?の情報を熱心にいろいろ教えてくれたりしたのだが、ほぼほぼ「無」で相槌を打ってしまい、申し訳なかったと帰り道で反省する。
晩ごはん、夏生さんがなにやらつくってくれたような気がするが、ほぼ覚えていない……22時過ぎくらいには横置きになる。
1/22(水)
引き続き疲労困憊。でもきょうは『メダリスト』の12巻が発売だったので、電子書籍でさっそく買って、通勤の電車のなかで読む。
今回はいのりちゃん視点ではなく、光ちゃんの視点で物語がすすむことは予告の時点で知っていたけれど、とても良かった。
バックヤード的な雰囲気というか、急にでてきた設定とかで矛盾しないか警戒していたのだけれど、全然そんなことはなく、光ちゃんはやはり優しいな……司先生のときの黒い光ちゃんも好きだけども。
晩ごはん、チャプチェ、トマトと卵のスープ、常備菜のにんじんとツナのマリネ、カブの葉とベーコンを炒めたやつなど。
実はメダリストは新刊以外に、同時発売の公式ファンブック(そっちは紙で買った)も買ったので食後にゆっくり読む。
表紙からなんとなく推測してはいたけども、たぶんこのファンブック、3巻くらいまで続刊しそうな感じだな……まだ全然序盤のキャラクターしか網羅できていない。
しかし、メダリストのおかげで人間性がだいぶ戻ってきた気がする……もう今週は寝て起きて終わりかと思っていたので。
寝る前に土曜日からはじまる勉強会の資料、少し補強し直す。
1/23(木)
ようやく文フリの疲労が取れてきた……って、文フリの疲労とれるのに4日もかかってんのかよ……まだ文フリの荷物の片付けもできていないんだが……。
それでも久しぶりに長い文章を読むことができた。
高殿円『死んだ魚の目で株を回す』というZINEを読了する。
『シャーリー・ホームズ』や『上流階級』シリーズの高殿円が書いた株のエッセイなのだけど、めちゃめちゃ面白かった。「株は全力でするな」「心を殺せ」などパワーワードが炸裂していた。
夏生さんも株を回しているので、おれも買ったり売ったりしてみたいな……みたいな気持ちと、いや、流されるな冷静になれ、という声がほぼ同等に頭のなかで響いていて、ひとまず楽天証券のアプリを入れて、ぼんやり数字の海を眺めてみたりしてみた。
晩ごはん、米久の肉団子を使って、野菜と炒めて甘酢あんをかけたやつ。揚げ茄子とエリンギのお味噌汁。
湯船のなかでもぼんやり楽天証券のアプリを眺めてしまう。何もしていないのに何かの前夜のような高揚感で寝付くのに時間がかかった。
1/24(金)
朝起きると、きのうの株を売ったり買ったりしたい、という気持ちはかなり縮小して、おいおいお前ちょっと冷静になれよ、総資産額ちゃんとかえりみてみろよ、という声の方が強くなっていた。NTT株を真顔で100株とか買わずに済んだ。
しかし、株を買うのが我慢できたのだからフィットボクシングの3を買ってもいいんじゃないだろうか、みたいな謎な気持ちがやってきて、Amazonで購入してしまう。
思い立ったらすぐに買えて、明日に届くAmazonの機動力。そして、買ってしまった……みたいなハイな感じがやってきて、ちょっと良くないな、とも思う。
きょうは仕事後、ユリコさんと小窓さんと飲みに行く予定なので、飲んでいる間に後悔におそわれないといいが。
と、思っていたが別に杞憂だった。
ユリコさんには去年の5月、不意打ちに結婚祝いをもらったので、今度は自分もしっかり用意してきた。
日本橋の「トサカ商會」で鳥刺し、焼き鳥、鶏バケットに日本酒。ユリコさんの新居と新生活の話をいろいろ聴いていて、楽しかった。家事分担の話、掃除の話、エンゲル係数の話……こういうのってそれぞれの家庭の数だけ正解があって、「普通」はないのだよなあ、と改めて思う。
22時過ぎには奈良へと帰り着く。
夏生さん、iPadでネトフリの『地面師たち』を見ていて、金曜日の夜っぽいくつろぎ方をしていた。
フィットボクシング3を買って、明日には届くという話をすると、予想通りめっちゃ驚かれる。夏生さんは、こういうものに対して絶対即決しない、慎重派なのである。
しかし、iPadもそうだけど最近こういう新しいガジェットを買ってまだ楽しめる気持ちが自分にもあるのだな、と自分のことながら面白い。フィットボクシング、自分がやりたいのもあるが、まず夏生さんがやるのを見てみたくもある。
(つづく)
■歌人プロフィール
toron*(とろん) @toron0503
大阪府豊中市生まれ。うたの日育ち。塔短歌会、短歌ユニットたんたん拍子、Orion所属。第1歌集『イマジナシオン』(書肆侃侃房)。
すでに登録済みの方は こちら