第19回毎月短歌・テーマ詠＋自由詠部門（選者:猫背の犬さん）

こんにちは、絶賛花粉症中の猫背の犬です🐕
深水様よりお声掛けを頂き二度目の選者を務めさせて頂くことになりました！
発表が遅くなってしまい申し訳ありません🙇

今回もいいなと思ったおうた+特にいいなと思ったおうたを発表させていただきます。評というより感想に近いですが何卒お手柔らかに！

それでは発表します！(敬称略)

「落ちる」ってそういうことか　底からは君の光を求めるしかない/老川由良

無愛想な君の犬歯の鋭さに狩られる者の血が騒ぎだす/北野白熊

すれ違う瞬間、風が吹き荒れて君の名前は呪文になった/汐留ライス

ひとりだけ各停みたいな相槌を打ってたけれど虹をみている/きいろい

まなざしに微笑み返す前にもう線香花火は地面に落ちて/川瀬 翠

電車を待つ列の中にいる主体が横の列にいる猫背のあなたを見ている景が浮かんできました。流れ的に足元から順に目線を上げていってると捉えましたが、そこも素直に見つめられない恋心のようなものが垣間見えていてとてもいいなと思いました。足元は黄色い線に収まっているけど猫背だから首から上ははみ出してしまっている「あなた」は、きっと真面目だけどどこか抜けていて、そこが愛おしい人なんじゃないかなと想像しました。目の付け所が面白くて素敵なお歌だと思います！

「好きになった瞬間」というテーマのなかであえてそれを曖昧に表現しているのが上手いなと思いました。いけるか？と少し浮ついているようにも見える主体にとってどこを好きになったかはあまり重要ではなく、好きな人の取る行動や仕草全てがもう他とは比べられないほど輝いて見えてしまっているんだと思います。この先言語化するのが難しい好きな部分をたくさん見つけてしまうであろう主体の恋が、幸せなものになればいいなと思いました。好きです！

「そこにいて」の前には「すぐに行くから」があったのではないかと気づいてからは下の句がとても愛しく思えてきました。ピンク色のパーカーがどこでもドアの色に見えたのは本当にすぐ駆けつけてくれたからで、電話をかけられる友達のような間柄の人をまさに「好きになってしまった瞬間」がとてもキャッチーに表現されていて素敵だなと思いました。そしておそらく肩で息をしながら主体の元へ駆けつけてくれたパーカーの彼も主体の事が好きなのでしょう。

末長くお幸せに！！！

今度また今度ってもしかして無限に生きるつもりか君は/宮緖かよ

東京の鳥や魚は天国に仲間がいると思いすぎてる/短歌パンダ

春立てる日にもここでは淡々と避妊の薬が渡されてをり/石綱青衣

永遠を願ってプリザーブドフラワー でも春風は溶かそうとする/汐

「私も」の続きかき消す踏切の音が鼓動を余計に煽る/さに。

できるかな？という希望があるからできなかったときに絶望してしまうのだと思います。そうならないようあえて無理だと否定をしているとても優しいお歌だなと感じました。もしかすると学校でうまくいっていない子どもに対して言っているのかもしれません。今はそう思う事が難しいかもしれないけど、いつかは大切な一人と笑い合えてたらいいなと思います。

思い返せば、かわいいから許されてきた事もあるし可愛くないと怒られた事もあるような気がします。もしそれに子どもの頃気付けていたらこんな風に思ったのかもしれません。大人の真似をした子ども二人がこれを言い合っている様子を想像してニヤニヤしてしまいました。可愛いだけではなくて少し考えさせられるような素敵なお歌だと思いました！

運命ではなく運営にすることによってこうも面白い歌になるのかとびっくりしました。ゲーム内の世界を想像させることによって、幼馴染のライバルや合体することで強くなる二人組、同時に倒さないと復活するモンスターなどどんな2人が永遠を誓っているのかの想像の幅がとても広くなっていいなと思いました。またゲーム内のキャラクターが運営の存在を知った上で生活している感じも面白くて好きです！

以上になります！

仕事が落ち着いたら僕自身も誰かの心に残るような短歌をつくっていけるようまた楽しみながら頑張ります！

ありがとうございました😊

（選者：猫背の犬 @nekozenoinuinu）

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