「自作解題・三首」斎藤君

本日は斎藤君さんによる自作解題をみなさんの手元へお届けします
短歌マガジン 2024.05.25
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[次世代短歌プレミアム]

■斎藤君プロフィール

斎藤君(さいとうくん)  @6699Kono

短歌歴二年目の脳筋です。活動場所はうたの日。好きなものは二物衝撃とプロテイン。夢は短歌の詠めるカリフォルニア州知事になることです。胸をピクピクさせて教師を泣かせたことがあります。精一杯頑張らせていただきます。よろしくお願いいたします。第三十五回歌壇賞候補。

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「自作解題・三首」 斎藤君

 夕焼けに鶏糞まいてゆく祖父をミレーの絵画のようにみている

 私の祖父は専業で農家を営んでいました。得てして孫というのは祖父母に溺愛されるもので、例に漏れず私も幼い頃、祖父に非常に愛されておりました。そして受けた愛と同じくらいの強度で私も祖父を信頼していたのです。実家は関東平野の一角、それもド田舎なので、黄昏時になるとオレンジ色の景色がただひたすらどこまでもどこまでも広がります。逆光で完全に真っ黒なシルエットとなった祖父が畑に肥料を振りまいていくのを私は不思議な気持ちで眺めていたものです。今思えばあの気持ちは「神々しさ」にも近いものだったのではないかな、と思います。その時の祖父の姿はまるで農村の生活を敬虔さを以て描いたミレーの作品のようでした。背景も晩鐘や落穂拾いと殆ど同じと言っていいものでしたし、土と共に真摯に生きている祖父は何よりもミレーの描く題材にふさわしいのではないかな、と思います。

 中学の写真をそっと抜き取ってあなたは過去をきずあとと読む

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