【短歌のひみつ】toron*「追い抜かれたものだけが紙の上に存在する」──自己愛とのつき合い方

今回は toron*さんの短歌のひみつをおとどけします
短歌マガジン 2024.09.01
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[次世代短歌プレミアム]

短歌のひみつとは──それぞれの歌人が知るちょっとした短歌の秘訣を語っていただくという連続企画です。

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[短歌のひみつ]

追い抜かれたものだけが紙の上に存在する

 ──自己愛とのつき合い方

   toron*

 短歌は57577の文節で成り立っているということもあり、つくるときにパズル的なイメージを描くひとは多いかもしれないが、自分はどちらかというと平面ではなく立体で、また、絵柄などもなく、イメージとしてはルービックキューブがもっとも近い。

 平面のパズルは完成後、再度ピースにまで分解して箱にしまうこともあるけれど、そのまま糊で固定されて飾られ、二度と分解されないように飾られる場合もある。

 一方、ルービックキューブは常に一過性のもので、各面が同じ色に揃った後は速やかにばらばらの配色にされるし、額に入れて飾られることもない。誰かを楽しませる、というよりかは自分の愉しみ。その6面を手のなかでどういう順序で組み立てたか、新しいルートを開拓したとかは共有されるデータとしてはあっても、まずは自分のため……競っているのも、新しい発見をするのも、まずは自分がそれに驚きたい、ということがあるのではないだろうか。

 と、やや回り道をしてしまったものの、つまりわたしの短歌のもっとも大切な読者は、まずわたしである――それを自覚することは非常に大事だと思う一方で、自分の作品に対して、自己愛を持ち過ぎないように心がけている。

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