第20回毎月短歌・自選部門(選者:土居文恵さん)選評発表
ネット月詠「第20回毎月短歌」,自選部門,選者:土居文恵さんの選評です
短歌マガジン
2025.04.04
誰でも

第20回毎月短歌 土居文恵 選
一席
家を出た数と帰宅をした数がそろわない人たちだけの街 宇祖田都子
〈評〉確かに、街を漂う人たちの「家を出た数」は、「帰宅した数」よりもひとつ多い。このように表現されてしまうと、すべての街を歩く人が流浪の民であるような、どこか心もとない存在に感じさせられてしまう。日常にドラマを与えてくれる歌。
二席
壮絶な足の引っ張り合いをしてプロポーションが良くなりました 白鳥
〈評〉お互いを壮絶に邪魔し合ったが、結果的にはプラスに作用してお互いの道で成功を収めた歌だと読んだ。本来ネガティブな表現である「足の引っ張り合い」をコミカルな表現に昇華させた。愛唱性も高く、笑いを誘う。
三席
矛盾とは限らないのよグラタンは凍っているし焦げてもいるの 村田真央
〈評〉冷凍庫のなかで焦げ目がついたまま凍っているグラタン。確かにその存在のみをクローズアップして見た際には熱いのか冷たいのかはっきりしない、なにか異様なものに映る。生活の中の高度な気付きの歌。
(土居文恵 @DoiFumie)
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