【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第42回)3月15日〜3月21日

歌人toron*さんの短歌日記をおとどけします
短歌マガジン 2025.03.26
読者限定

[次世代短歌プレミアム]

[短歌日記]

ナイフのように爪先立ちで 第42回

toron* 日記 3月15日〜3月21日

  くらべても何処かに着けるわけではなく平均台の上にも空が

3/15(土)

 さすがに今日くらいにはケリをつけねば……と、観念して動きはじめる。そう、確定申告ですね……。

 まずは埋まりきっていない帳簿を埋めるところからスタートし、途中にとてつもなくなんだかんだあったが、それでも17時までにはe-taxで申告完了するところまでたどり着けた。

 確定申告は歌集を出した年からやりはじめた気がするが、未だに「これでいいのか?」感がまったく抜けない。それでも3年目にして今年の確定申告がいちばん「なんか解った」感がつよかった。

 とはいえそれは「なんか解ったような気がする」というだけで、正しい確定申告ができたという成功体験とは、また別の話になる。

 そして、これまでは確定申告が終わらないことに怯える日々だったが、これからは確定申告が間違っていないか怯える日々がはじまるのである……。

 しかしながら、確定申告できたから今日はもういいだろ、の気持ちもある。ここさいきんの原稿以外でいちばん重いタスクをやり遂げたので、開放感がすさまじい。

 ということで、晩ごはんも開放感にまかせてフライパンのみでつくるパスタ。

 キャベツとベーコンとめんつゆでつくる。

 味の素のレシピなのだけど、めんつゆをたっぷりめに入れて、軽く煮るようなレシピ。

 めんつゆ、これまでパスタにこんな量使ったことがなかったので、まあまあ焦ったが、意外と濃さがちょうど良くて、かつ、めんつゆだけで一発で味が決まっていい感じにできた。

 夏生さんは18時過ぎくらいに帰ってきた。

 きょうは一口馬主になっている馬に武豊が騎乗して走るということで、阪神競馬場に行ってきたのだった。惜しくも3着だったらしいけど、雨なのによく頑張っていたとのことを聞かせてもらう。

3/16(日)

 きょうは奈良国立博物館のお水取り展に行く。

 先週、現地でお水取りを見たところだったので 色々なシーンやその裏で執り行われていた儀式を、写真と映像で見られてなかなか興味深かった。

 お水取りは2週間にわたって行われるし、写真撮影禁止の場面もあるけれど、それでもこうして見るとひとつひとつの作法や道具に意味があることが解って、面白い。

 夏生さんは奈良生まれで、お水取りも自分より見ているのだけれど、造花の椿のことははじめて知ったらしい。

 儀式で使う椿の造花は梔子の木を芯にして、赤と白の紙を巻き、僧侶たちが自らつくっているのだった。

 自分はこの椿のことは去年お水取りについて調べることがあって知ったのだけど、それを知ってから、和菓子屋さんにこの椿を模したお菓子がこの時期並んでいることに気づいたりした。知識が補填されたように感じる。

 その後、同時開催されていた仏教芸術展にも行く。

 国立博物館は書の展示がとても豊富で、ただ知識がないと、見ていても「字だ……」になって見ていたように思う。

 そういえば、かな文字を眺める時は字ではなく絵のように眺めると確か『光る君へ』の題字を担当した方が言っていたような気がするが、漢文だと漢字ひとつひとつに意味があるので、絵のように眺めにくくて、漢字を眼が拾おうとしてしまうというか。

 しかしそれでも全部ちゃんと見てしまうところが自分たちの性格だったりする。

見終わってから三条通りの「ヤマトクラフトビアテーブル」へ。

 実は先週も来たところなのだが、金曜から伊勢志摩醸造ゴールデンエールという新作が出たということで、また来てしまう。

 ピザとビール、フライドポテトとビールのセットがお得になっていたので、夏生さんと頼んでシェアする。

「今週、何も為し得てない……みたいな感覚だったけど、振り返ってみると意外と週末充実してたなあ」と夏生さん。

 それはめっちゃ解る。そして、別に何も為し得なくてもいいはずなのに、そうするべきだと思い込んでしまうのだよなあ。 

3/17(月)

 かたつむりが殻を増設していることは先週の日記にちょっと書いたかもしれないのだけど、その所為か、さいきん水槽を覗くたびに何かしらむしゃむしゃ食べているかたつむり……本人(本かたつむり?)にしてみたら「なんだかわからないけどお腹空くなあ」という感覚なのだろうか。

 しかし、かたつむりの視力とか身体の構造では自分の殻を永遠に見ることはできないので、どういうふうに感じているのか……守護霊だとか思っていたりするのだろうか。

 晩ごはん、鶏むね肉をパン粉をつけてかるく揚げ焼きに。いったんフライパンからあげて菜の花とエリンギをにんにくと一緒に軽く焼いてから、トマトピューレを投入。塩で味をととのえてからフライパンに戻す。

 菜の花は今の季節、結構好きだ。なんとなくおしゃれな一皿にできるし、調理も楽なので。それに持ち味のほろ苦さは単体でもお肉ともよく合うし。

 それとたこのぶつ切りを常備菜の新玉ねぎのマリネと和えたもの。

 きょう塔の会誌が届いたのだけど、夏生さんの分の塔がなぜか届いておらず……夏生さん、「除名されたのかなあ」とショックを受けていた。

 さすがにそんなことはないだろうが、明日くらいに届いてくれたらいいのだが……。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2475文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第43回)3月2...
誰でも
田中翠香・2025年春の時評「次世代の注目歌人たち」
読者限定
【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第41回)3月8...
読者限定
第20回毎月短歌・3首連作部門(選者:森本 有さん)選評発表
誰でも
第20回毎月短歌・3首連作部門(選者:スズキ皐月さん)選評発表
サポートメンバー限定
【新刊】斎藤君著 第0歌集『死にたくはない』をサポートメンバー全員にプ...
誰でも
斎藤君著 第0歌集『死にたくはない』刊行
読者限定
【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第40回)3月1...