[短歌日記] toron*「ナイフのように爪先立ちで」6月1日〜7日
toron*さんの新連載、歌人日記「ナイフのように爪先立ちで」をみなさんのもとへお届けします
短歌マガジン
2024.06.10
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[次世代短歌プレミアム]
ナイフのように爪先立ちで toron*
toron* 日記 6月1日〜7日
ゆっくりときみのジーンズすすぎたり紫陽花いろの渦になるまで
6月1日(土)
7時起床。夏生さんから「休みなのに早起きだね」と云われたけれど、きょうは紺野なつさんとランチをするので、いろいろ準備があるからなのだ。
ご飯はだいたい昨日のうちに仕込んであるので掃除、洗濯、かたつむりの水槽の清掃、などを済ませて11時前に、JR奈良駅まで紺野さんを迎えに行く。
わが家の玄関に今かたつむりの水槽が置いてあるので、どんな反応をされるかちょっと身構えていたのだけど、「かたつむり前から好きだって云ってたもんね。こうして見るとかわいい。娘も今ダンゴムシ買ってるんだけど、たぶん好きやと思うわ」と云って、さっそく写真を撮っていた。そういえばかたつむりを唐突に飼いはじめたとき、夏生さんも「こうして見るとかたつむりってかわいいんやね」と云っていた。
わたしに対してみんなが優しいのか、わたしが長い時間をかけて自分を否定してくるひとたちとの関係をそぎ落としてきたからなのか、ほんとうにかたつむりの魅力に気づいてくれたのか、それを断定する勇気はないのだけれど、なんというかこういうとき、自分はとても幸運な場所にたどり着いたのだと感じる。