【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第46回)4月12日〜4月18日

歌人toron*さんの短歌日記をおとどけします
短歌マガジン 2025.04.23
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ナイフのように爪先立ちで 第46回

toron* 日記 4月12日〜4月18日

  さびしさを手懐けられたらいいものを数多の鹿が動悸している

4/12(土)

 きょうはピクミンブルームのコミュニティデイだったので早朝、奈良公園まで歩きに行く。

 自分が起きるより先に夏生さんは起きていて、既にフィットボクシングをやっていて、洗濯機も回してくれていた。

 きょうはポケモンをやりたい、とのことでモチベーションが上がっているらしい。めっちゃええやん。

 自分も明日は雨とのことで、なるべく今日中にピクミンブルーム1万歩を達成したい気持ちがある。

 そういえば先日スマホを新しくしたので、ピクミンたちがめちゃめちゃぬるぬる動くようになった。これまでのピクミンたちはやけにカクカクしていて、ログインするのに近鉄電車で生駒山を下山するくらいの時間がかかったりしていたのである。

 春日大社の階段をのぼる前くらいまで来るとちょうど5千歩くらいになったので引き返す。

 午前中このあたりに観光客はほとんどいなかったものの、国立博物館近くまで来るとインバウンドの方々で道幅がいっぱいになっていた。

 奈良公園の散歩はやはり午前中がいいなと思う。鹿も午前中はわりと活発だけれど、午後は鹿せんべいをねだるのにも飽きて、たいがいうとうとしていたりする。

 ひさびさに朝マックをしてから帰宅すると、夏生さんがベッドに横たわっていた。

 朝のモチベーションはどこに……? 

 と思っていたら、ポケモンのソフトが不具合のようで、起動しなくなってしまったらしい。

「この世になぜダウンロード版があるのか、おれはようやく理解したよ……」

 と云って、ふたたび寝込んでしまう。かわいそう……。 

 晩ごはん、塩豚をポトフにしようとキャベツひと玉に包丁を入れたところ、真ん中あたりの葉が真っ黒で、傷んでいた。

 その部分から 上の層と下の層に腐敗がひろがりかけていて、ひええ……となりつつも外科手術のように傷んだ部分を除去した。切れ端の部分は細かく刻んでコールスローにした。

 買った当時から傷んでいたのではなく、冷蔵庫に入れていた間の湿気が原因かもしれない。やはり多少割安でもふたり暮らしでは半玉くらいがちょうどいいのだろうな。

 夏生さん、晩ごはんには復活していて、「おれはダウンロード版を買うよ……!」と決意をあらたにしていた。

4/13(日)

 きょうは雨。昼過ぎに夏生さんと十首会。

 3回目なのだけど、これまででいちばん夏生さんがスムーズにつくれていた。

 夏生さんはいつもメモなどもない状態で無から錬成するので、毎回スムーズとは云い難かったのである。……とはいえ、今回はメモをつくってきたとかそういう訳ではないのだが。

 反面、自分は今ひとつ調子が出ず、これまででいちばんつくれなかった(といっても十八首はつくったが)。そういう日もある。

 終わってから、夏生さんは桜花賞の中継を見ていた。

 わたしはその後、常備菜のつくり置きを仕込んだり。もやしナムル、味玉、小松菜のぽん酢漬け、切干大根のサラダなど。

 晩ごはんはきのうのポトフの残りに春雨を足したもの。野菜がかなり溶けてしまったので、エリンギを足したのだが、エリンギって煮込むとかなり香りが強いことに気がつくなど。炒めた方がいいきのこなのかもしれん。

 食べながら最近アマプラで配信しはじめた『片田舎のおっさん剣聖になる』を見る。

 マンガ版がわりと面白かったということもあるけれど、わたしが「ポテンシャルが高いのになぜかそれに気がつかず、自己肯定感が底辺の主人公が仲間に出会って自信を取り戻す」というシチュエーションにめちゃめちゃ弱いからである(そんなんあるか? と思われるかもだがけっこうあって、ヒプノシスマイクの観音阪独歩、『おおきく振りかぶって』の三橋、『BEASTARS』のレゴシ、『メダリスト』の司先生など全員大好きです)。

 ただこの主人公のおっさん……ベリルもそういうタイプなのだけど、このキャラは人望ネットワークに恵まれていて特に自信喪失させるようなエピソードがないのに、なぜこんなに自己肯定感低くなっているのかあまり解らない。

 夏生さんたまに、虚空を見て意識的に画面から眼をそむけていたのだけど、あれは共感性羞恥なのだろうか……。

4/14(月)

 土日、肩と背中がバキバキだったので、仕事終わりに整形外科。

 これまであまり当たったことのない先生で、ずいぶん前にやってもらったときはわりと揉み返しがあった気がするのだけど、自分の症状の伝え方が悪かったのかもしれない。胸鎖乳突筋というところのツボをかなり押されて、めちゃめちゃすっきりした。

 帰宅したら今月号の塔が届いていた。応募していた今年度の塔短歌会賞は候補作でした。

三十首全種掲載で選評も頂いているので、これだけでありがたいはずなのだが、ちらっと読むと評はわりと厳しい感じだった……これはもうちょっと心の準備ができてからにしようかな……。

 晩ごはんは夏生さん作の親子丼。その他、常備菜の小松菜のぽん酢漬け、切干大根のサラダなど。

 昨日から大阪万博がはじまっていて、くら寿司が8時間待ちや、木製リングが雨除けに役に立たないとか、塩害で植物がけっこう枯れている、その他メタンガスやトイレ一時全面使用停止など、めっちゃ事故ってるニュースが流れてくる。

 とはいえ、ちょっとネガキャンしすぎなのでは、と思うところもあるというか……3千円超えのラーメンはよく取り上げられているが、一応会場内には焼き立てパンが200円台で提供される場所もあるわけで、対応策がまったくない訳ではないというか。

 どのスポットや回り方がおすすめ、みたいなのは今後更新されていったりするのだろうか。 

 しかしこれまで、正直ほとんど興味がなかったのだけど、ここにきて逆にどんなものなのか見たくなってきた。

 猛暑を乗り切ってからの時期は気候的にも、ちょうど良さそうだし、さすがに各パビリオンも完成してそうな気もする。夜間券だとかなりお得に入れるのでいいかもしれない。

4/15(火)

 そういえば昨日の日記に大阪万博のことを少し書いたけれど、例の「2億円トイレ」のことも気になっている。

 異常に値段が高い、と取沙汰されているものの、この「2億円トイレ」の外側の建築だけなのか、衛生器具や菅材や施工費も含んだ金額なのか、そもそも何台設置されているのか明らかにされていないので、本当に「高い」のか解らないというか。

 Xのポストにあがってきた画像を見ると、回転率の高いトイレで使用されるフラッシュタンク式の洋式便器なので紙巻器などの備品セット品あわせて1台40万円くらい、オストメイト設置の身障者用もあるみたいなので、そこそこかかるのだとは思うのだが……おそらく内訳とか台数を出したらこんなに燃えてないような気もするのだけど、府知事がなぜか平米単価で比較したり、「建築家の魂」を出してきたりするので延焼がつづいているのだろうなあ、と思ったりした。使いにくさ云々も勿論あるのだろうが……。

 とはいえ、2億円トイレ以外のデザイナーズトイレは8種類もあるらしいので、これらもぜひ見てみたい。

 晩ごはん、豚肉と野菜のオイスターソース炒め、かにかまとえのきのスープ。作り置きの常備菜いろいろ。

 うっすら寒くて弱めの暖房をかけた。

 寒暖の差で疲れているのか夏生さんが「まいちゃん大丈夫、顔色悪くない……?」と、飼っているかたつむりに話しかけていたので「まいちゃんはもともとブルベやから」と云い聞かせて寝かせつけた。

4/16(水)

 きょうはテレワーク。春眠なんとかかんとかで寝坊しかける。始業10分前くらいに起きて、午前中は寝間着で仕事した。

 先日借りてきた、三上延『百鬼園事件帖』読み終わる。

 内田百閒、自分はかなり好きな作家なのだけど、ちいさなエピソード……文体の癖や百閒の口調をかなり捉えて描いていて楽しめた。

 『恋日記』『山高帽子』『サラサーテの盤』『冥途』『まあだかい』など、作品のエピソードも随所にあって、また夏目漱石の『夢十夜』の影響という文学史的な出来事を独自の解釈で仕立ててあって、それも良かった。

 全体的にうっすら怖いのは百閒の世界観っぽさもありつつ、この作者の『ダーク・バイオレッツ』の頃からの雰囲気でもあるような。

 北村薫『六の宮の姫君』、森見登美彦『有頂天家族』などが好きなひとも楽しく読めると思う。

 晩ごはん、ミートソースグラタン(ハウスのグラタンキットを使った)、キャベツとベーコンのお味噌汁、菜の花とプチトマトのおひたし。春っぽいラインナップ。

 きょうもうっすら寒く暖房を入れる。

 しかし明日は10℃以上気温が上がるらしいので、毛布や敷パッドを使うのはきょうが最後かもしれない。 

4/17(木)

 昨日うっすら暖房をかけていたとは思えない暑さ最高気温は26℃らしい。極端すぎる。

 メンタル的には春っぽい陽気にひきずられているのだけど、体調的には寒暖差にややしんどいという具合。でもこのまま気温が上がりっぱなしになってくれれば、それもきょうで終わり……!

 めずらしく1本前の電車に乗れたので、いつもより早めに帰って来れた。

 味噌煮込みうどんをつくっていると、夏生さんが半額シールの貼られたメンチカツと海老餃子を買って帰宅。

 買ったって連絡してくれよ~。でも両方美味しく頂きました。

 ここ数日ずっと眠いのだけど、そもそも睡眠時間が5時間弱くらいで、しかも今月の目標だった「23時半には寝る」をまだ1回しか守れていないのが問題かもしれないと気がつく。

 早く寝るために真面目に動いたら、23時くらいにはベッドに入れた。

 一方、自分が寝る寸前まで、夏生さんはポケモン追加コンテンツをプレイしていた。

 どうやら全クリ直前の佳境だったようである。無事にエンディングまで見れて「ラスト良かった……」と感動して泣いていた。

4/18(金)

 23時に寝たのに起きたのは6時であった。しかも二度寝しかけていたのを夏生さんに布団からひっぱり出される。

 結局ねむいものはねむい。内田百閒の言葉を借りると「だらけるにも体力がいるのである」だろうか。 

 職場の同僚である岬さんがGW明けに東京出張らしく「空き時間に芝公園でも歩こうかな」と云っていた。

 なぜ芝公園なのだろうか、と思っていたら公園ピクミンと橋ピクミンをゲットしたいから、ということらしい。東京に行ってまで……。

 さいきんあんまり書いていなかったが、岬さんは相変わらずピクミンブルームに余念がなく、ブレない感じである。

 晩ごはん、そぼろ丼、えのきとわかめのお味噌汁。

 図書館で借りてきた『天然生活』のバックナンバーを読んでいるのだが、やはり面白い。

 節約特集で、取り組んでいる節約対策に対してゲストのひとりが「旅行が好きなのでマリオットホテルのクレジットカードを持っています。年会費5万円なのですがポイント還元率が高いので元はとれます」とコメントしていた。節約の意味が一瞬わからなくなる。まあ1000歩くらい譲って、それは「節約」ではなくて「生活の工夫」だと思う……。

 夏生さんと弾丸であした鳥羽水族館行くかどうか話し合うが、協議の結果、5月のGW明けにすることに。

 5月、短歌や短歌以外のイベントも盛りだくさんで、横移動もハンパないのでなんとか体力と気持ちの余裕を確保しなければ。

(つづく)

■歌人プロフィール

toron*(とろん) @toron0503

大阪府豊中市生まれ。うたの日育ち。塔短歌会、短歌ユニットたんたん拍子、Orion所属。第1歌集『イマジナシオン』(書肆侃侃房)。

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