【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第22回)10月26日〜11月1日
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[短歌日記]
ナイフのように爪先立ちで 第22回
toron* 日記 10月26日〜11月1日
十一月の窓はひかりに張りつめて気づけば冬の内側にいる
10/26(土)
うっすら天気悪し。その所為か9時前くらいまで惰眠をむさぼってしまった。
起きても気力が湧かないものの、それでも今日は図書館に行くつもりだったので向かう。自転車でだいたい15分くらいの奈良県立図書情報館。
短歌の連作に使うための資料を3冊くらい借りる。……十首以上の連作、それもアラカルト的ではなく、何かしらテーマをもった連作をつくろうとすると、わたしは自分の経験を抽出して歌にすることが難しい。
うるせえぞおまへ、挽歌詠んだろか。花のなまへをつけてやらうか/伊豆みつ『鍵盤のことば』
たとえばこの歌なども、自分の体験を昇華して(あるいは現実を上書きして)歌にしているということなのだろうけれど、この抽出作業が自分はなかなかに不得手である。
自分について、あまり語るべきことを思いつかない。そんなはずはないのだろうが、近頃は気になるトピックスを調べてそこから背景を補填していくなかで、言葉が言葉を呼んでくる感じを得てから歌をつくる方式を試している。
申請制のデスクで、1時間ほど調べものとまとめ作業をしてから帰宅。夏生さんは昼ごはんにカップ麺を食べたらしいので、自分の分だけつくる。無印の野菜スープと、ロールパンでホットドッグをつくる。
午後になってやる気が回復するかな、と期待していたが天気の下り調子と比例してやる気も低下してくるなど……図書館で借りてきた本を横置きになりながら読む。
晩ごはんはパスタキューブを使ってパスタ。具は鶏もも肉と小松菜。
パスタは母上が送ってくれた「2分で茹でられる」というママーパスタの乾麺を使ってみたのだけど、もっちり感がかなり少なめ……具入りで炒めたりしながらつくる料理より、茹でてそのままソースをかける方が向いているのだろうな。
晩ごはんの後もやる気は回復することはなかったが、ひとまず借りてきた本の1冊は読み終わった。
10/27(日)
きょうは晴れ。それだけでうれしい。きのうより断然気力に満ちあふれている気にさせてくれる……きのうはぜんぶ気圧の野郎が悪かったのだと思いたい。
午前中に夏生さんと近所の小学校にまで投票に行く。10時くらいでもけっこうな人で、夏生さんは「奈良市の投票会場こんなに混むんだ……!」と驚いていた。
夏生さんも奈良市出身なのだが、奈良市は合併を繰り返していて、夏生さんの地元の奈良市はちょっと前まで村だった三重県との県境にある山中なのである。投票会場に行っても、だいたい選挙の立会人の数の方が多いらしい。
終了後にはじめて出口調査なるものを受けた。出口調査だけで、選挙結果がほぼわかるということにけっこう懐疑的だったのだけど、よく考えると、出口調査で投票と別の回答をするひとがいても圧倒的に少数なので、そこまで大勢に影響はないということなのだろう。
午後は掃除機をかけて、かたつむりの水槽の掃除をする。
クローゼットの奥からふうせんかずらの古本市に出す予定の本の残りが出てきた。かんぜんに忘れていたが、来週どこかで補充しに行きたい。
そういえば、古本市には定価だけれど『たんたん拍子』のVol.2~Vol.5を出していて、きのう夏生さんがのぞいてきたら、売れてはいなかったものの他の参加者のどなたかが、面陳できる什器にセッティングしてくれていたらしい。……背表紙にタイトルが入ってないので、棚にならべると解りにくいし、平置きするとそこまでボリュームがないのでなんとかせねばと思っていたところでした。めちゃめちゃありがたい。
晩ごはんはれんこん入りつくね、つるむらさきとちくわのお味噌汁、常備菜なんやかんや、白ごはん。
20時からNHKの選挙特番を見る。
スラム街暮らしのとき、テレビがなかったので選挙の結果をネットニュースで確認するのみだったのが、こうしてリアルタイムで開票されていくのを見るとけっこう面白い。かなりコンテンツ的に眺めてしまっている部分はあるけれど……あと、自分がよくXで眼にするニュースは、まあまあ情報の偏りが多いなあ、と改めて思ったり。
自分の投票地区では日付を超えてからも開票が続いていたけれど、最後まで見届けずに眠る。
10/28(月)
朝起きると、自分の投票地区でも結果が出ていた。
寝る前は出口調査で既に当確が出ていたものの、開票では別の候補が数千票リードという感じで、けれども結局朝になると、当確の出ていた候補が1万票ほど差をつけて当選していたので、なるほどなあ、と思った。出口調査の正しさが実感としてようやく追いついてきた。
きょうは出社。朝のミーティングのときに、中途入社の社員の方がひとり退職するということを聞くなど。入って10ヶ月くらいで、持病があるためほぼテレワークだったので、あまり話す機会がなかったので、そうですか……という素直な気持ちだけ生じる。
去年、もうひとり家族の都合で東京に異動になってしまっていたので、これで、美潮さんの下が誰もいなくなってしまった。
そして今のところすぐに人の手当てができないので、3月くらいまではわたしがその辞めたひとの分の作業を引き継ぐことに。まじかー。でも黒の組織の社内に絶対帰りたくないので、出向が長引いた方が断然うれしかったりする。大変だなあ、という顔だけつくる。
晩ごはん、とん平焼き、常備菜の蒸し大豆と玉ねぎのマリネ。えのきとうす揚げのお味噌汁、白ごはん。
とん平焼き、はじめてつくってみたのだけど、けっこう上手くできた。卵3個で2枚分仕上げたのだけど、これは大皿に1枚分どーんと出した方が見映えも良いし手間ももっとかからないと思う。
かなり嬉しい掲載のお知らせが届く。が、これはたぶん告知できるのは来年4月くらいだと思うので、春まで生活をちゃんとやっていきたい。
21時からたんたん拍子の打ち合わせをGoogle meetでやる。
エノモとは塔の全国大会で会えず仕舞いだった。といっても、8月にほとんどのメンバーと江ノ島で会っていたはずなのだけど、なんだか既に懐かしい。
草薙さんはハンガリーの大学構内にいるようで(現地時間は15時くらいらしい)、途中で同級生らしき人が話しかけてくるシーンもあった。めずらしくビールを飲んでいるのはきすた先生だけという、割とまじめな打ち合わせになった。
来年の文フリ以外にもいろいろ決めることがあって、いつもより雑談少なめなのに終わるのが23時ジャストくらいになってしまった。こちらの方も告知できるのが楽しみです。
10/29(火)
出社。会社のパソコンのシステムが11月1日から一部変更になるので、いろいろ引継ぎしたり、バックアップしたりの作業。が、出向しているひとはパソコンの仕様が若干ちがうためかわたしや岬さんのパソコンは上手くいかず……ひととおり終わるのに4分の3日くらいかかった。仕事量は多くなかったのに、振り回された感でどっと疲れる。
しかも、テレワークに使うシステムが結局うまく切り換えられなかったので、明日は出社せねばならない……。
晩ごはんは夏生さん作。鯖の味噌煮、小松菜の炒めもの、常備菜のこんにゃくの甘辛煮。
明日テレワークにならなかったので、今週の晩ごはんは夏生さんに全部担当してもらう感じ。しかも、鯖味噌煮とか自分はほぼやらないメニューなので、誰かにつくってもらって食べられるのがありがたい……。
きょうは早く寝るぞ、という気持ちだけはあったがベッドに入ったのは0時ジャストだった。
10/30(水)
ハイパーねむいが出社。
切り換えた社内システムが上手く走らず、謎の疲労が蓄積される。その所為かどうかは解らないけれど、背中から腰にかけてがっちがちに固まる。選手生命の終わりを感じる。
晩ごはんは夏生さん作の木須肉、ピーマンとちくわの炒めもの、白ごはん。
そういえば、少し前から肩から胸の筋肉を繋ぐラインが痛いのだけど、背中も含めて整形外科案件かもしれない、ということに眼を逸らしている。極力病院行きたくないよーー、と思いつつYouTubeの動画を見ながらストレッチをする。
ついでにキュウソネコカミの新しいMV『正義マン』を見る。たぶんSNSの炎上に加担するひとの心理を歌っているだろうけれど、いやあ、あれって誰もが自分の信ずるところの正義を振りかざしているってわけではなくて、加担しているひとは「攻撃」というよりは「お気持ち表明」のつもりなんだよなあ、とわりと歌詞に関してもやっとしてしまった。
でもMVの撮影場所はおそらく『ギリ昭和』と同じ場所で、それにはちょっと笑ってしまった。
10/31(木)
テレワークがないと1週間がこんなに長く感じるのだなあ、と思う。疲労困憊で帰宅。
晩ごはん、夏生さん作、鶏むね肉とキャベツを豆乳と味噌で煮込んだもの。クリーム煮というよりは、なんとなく味噌味のちゃんこ鍋っぽい感じの味。常備菜の茄子とピーマン、ちくわの焼きびたし。
夏生さんに「知ってる? 明日から11月なんだよ」と云うと「な、なんだって~!」と返してくれた。これの元ネタってなんだっけ。『魁!男塾』だっただろうか。
去年も行った年末のロックフェスRADIO CRAZYの出演者が第3弾まで発表になっていた。3日間あって、初日にVaundyとTele、2日目にフジファブとKroi、Wurts、3日目にクリープハイプ、キュウソ、PEOPLE1と、ひさしぶりに通しで行きたい気持ちが高まる……が、3日間通し券の価格が3万3千円……。
去年もこんな価格だったっけか。いや、たぶんこんな価格だったのだろうが、気がつくと遠征とかしてまで行きたいひとにだいぶ厳しい価格になっているなあ、と感じるものがある。遠征でなくてもかなりでかいが。
ただ、日程的にはコロナ前とかは24日と25日と平日開催で、ライブキッズが対象な感じだったし、バンドの対象年齢層ももっと低めだった気がするので、価格とともに対象年齢層もあげたのは良かったような気もする。
と、考えながらも最終的にはでも3万3千円か……に戻ってきてしまう。このあたりの変遷について、勇ちゃんあたりとめちゃめちゃ語りたいなあ。とりあえず、通しで行くのかスポット的に行くのかもう少し考えよう。
11/1(金)
1週間ようやく終わる……今週めっちゃ長かった。ってゆーか考えたら、今週ほぼほぼ雨で気圧がずっと下がっていたのも疲労感の一因だった気がする。
晩ごはん、夏生さん作。鯖のレモン焼き、中華スープに冷凍の水餃子を入れたもの、常備菜のにんじんと玉ねぎのマリネ。
夏生さんとレディクレ、たぶんバンプ的なアーティストがまだ来る可能性あるよね、という話になる。
サカナクションあたり、最終日に来てくれないだろうか。
ちなみにサカナクションでいちばん好きな曲、わたしは『シーラカンスと僕』、夏生さんは『ネイティブダンサー』だった。
(つづく)
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■歌人プロフィール
toron*(とろん) @toron0503
大阪府豊中市生まれ。うたの日育ち。塔短歌会、短歌ユニットたんたん拍子、Orion所属。第1歌集『イマジナシオン』(書肆侃侃房)。
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