【短歌日記】toron*「ナイフのように爪先立ちで」(第48回)4月26日〜5月2日

歌人toron*さんの短歌日記をおとどけします
短歌マガジン 2025.05.07
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[短歌日記]

ナイフのように爪先立ちで 第48回

toron* 日記 4月26日〜5月2日

  ありえない速さで過ぎたひとときのぶれた写真が手もとに残る

4/26(土)

 GWである。自分のGWは飛び石でトータル9日という感じなのだけども、仕事はテレワークで対応するので、気持ちをGW仕様からパキッと切り換えるのはなかなか難しそうである。

 午前中、図書館に行く。王谷晶『ババヤガの夜』、江國香織『シェニール織とか黄肉のメロンとか』などを借りる。

 『ババヤガの夜』はネットニュースで知ってから面白そうだな、と思っていた。

 作者はこれまであまり知らなかったのだけど、日本人女性で初のインターナショナル・ダガー賞にノミネートされた「バイオレンスアクション」らしい……ヤクザの娘を護衛することになった女性が主人公ということで、ある意味ではガールミーツガールものかもしれない。

また先日『ピエタとトランジ』を読んだところなので、いろいろ比べながら読めそうな気もする。

 しかし、刊行からかなり経過しているとはいえ、いちおう賞にノミネートされているのだけど、普通に図書館で借りれたな……ちなみにGWの図書館はわりとがらがらだった。逆に自習するひとが増えているような気がしていたのだけれど、とても過ごしやすかった。

 夕方は夏生さんと一緒に上本町の「百楽」へ。

 わたしの両親が、夕食に誘ってくれたのでお言葉に甘えて中華のコースを頂いた。

 こういう両親の誘いに何か思惑が……何か重要な物事(例えば両親の病気の発覚だとかいずれにしてもネガティブな)を切り出すための舞台設定なのではないか、つい勘ぐってしまうのだけれど、だいたい何もない。

 夕食の前に、ふたりで映画を見てきたらしく、また今週末わたしの誕生日なのでふたりからワインを1本頂いた。

 両親ともかなりの陽キャなのだが、そんなふたりから生まれたわたしはそこはかとない陰キャでネガティブなので、こういう楽しい場でも「ふたりとも元気でいてくれてありがたいが、健康寿命のことを考えると、もっと自分がしっかりしなければならないのに……」的なことを同時に考えてしまう。

 そして、別に親はこういうことを子どもに考えてもらう必要を感じていないのだろうな、とも思うのである。

 こう書くと、かなり場を楽しんでいなさそうであるが、北京ダックが来る頃にはいい感じに雰囲気に引っ張られて、来月、母と万葉植物園に行く約束をするなど。

 夏生さんはほぼ聞き役だったけれど、こちらもいい感じに酩酊していた。帰りの近鉄の車内は比較的すいていて、まだあまりGWという感じがしなかった。

4/27(日)

 きのうの晩、中華をめちゃめちゃ食べたのだが、きょうは高校の頃の天文部のメンバーとタイ料理のランチに行く。

 しかもビュッフェ形式なので、朝ごはんはプロテインだけにして胃を休ませた。そこはかとなく生き急いでいる感がある。

 梅田の「コサムイ バイ チェディルアン」というお店で、いつものメンバーに6年ぶりに会う織花さんを加えた面々で集合する。

 織花さんも天文部のメンバーで、わりと頻繁に会っていたのだけれど結婚して出産してその後すぐにコロナがあってと、イベントが重なりまくって、また織花さんが自分から連絡するタイプでなかったことも相まって、あっという間に6年が経過してしまった。

 そのあいだに皆それぞれいろいろあったりしたので、それぞれ報告をしつつ貪欲にビュッフェの往復をした。

 ここのビュッフェ、休日はなかなかいいお値段で、さらに今の時期は「GW特別料金」なるものも追加されているのだけれど、お値段以上に美味しかった。

 また辛いというよりか、スパイスとハーブの味がくっきりしていて、元気になりそうな味。

お茶の種類も豊富で、ハスの実茶、オレンジフラワーティーなど、夏生さんの好きそうなラインナップなので、今度は連れてきてあげたい。

 わたしも結婚して奈良に引っ越したあたりを織花さんに教えていなかったのでそのことを伝えると、

「ちょ、なんなん、わたしだけみんなより遅れてるやん、まじっすかー、お祝い何がいいですか、やっぱ現金がいちばんいいよね?」

 と、完全にかつてのノリで返してきて、懐かしかった。

 また織花さんも株をやっているらしく、今後情報交換しようということにもなった。

 その後、織花さんの夫の様々なエピソードみんなで憤慨したり、興味深く拝聴したり90分がすごい速度で過ぎた。

 解散してから百貨店でイカと里芋の煮物、銀鱈の西京焼きなどを買って帰る。これにキャベツのおかかぽん酢和え、えのきとなめこのお味噌汁などをプラスでつくれば、まあなかなかいいんじゃないか、みたいな晩ごはんになった。

 晩ごはんのとき、夏生さんに織花さんの夫が電子レンジが発するという電磁波を嫌がっていて、自分がリビングにいる間は使わないでほしい、ガスの火も危険なので極力使わないで、と云っているというエピソードを聞かせると、不思議な事象を目の当たりにしたような反応をしていた。

4/28(月)

 きょうは飛び石連休の飛び石の部分。黙々とテレワーク。

 しかしきのうと気温差が激しくひたすらに寒い。きのう薄手の七分袖とか着てたはずなんだが、裏起毛のトレーナーなどを引っ張り出して着る。

 晩ごはんは鍋。具はピーラーでうすく削いだにんじん、豆苗、豆腐。豚肉。出汁は白出汁をうすくしただけの簡単な感じ。ごまだれがなくなりかけていたのだけれど、寒くて外に出たくなかったので、梅干をつかってたれを自作した。

 晩ごはんのとき、夏生さんが「きょうは仕事中、電磁波のことについて考えていたのだけど……」と切り出してきた。

「電磁波って、電子レンジ以外にパソコンとかスマホとかからも発されているはずだけど、電子レンジだけ駄目ってことなんだろうか……」

 それはきのうのランチのときにも話題になっていたが結局、なぜ電子レンジのみNGとされているのか真相はさだかではなく、電子レンジが食品に影響していて口から摂取することが駄目ということではないか、などふたりで推理を展開させたりしたが、想像の域を出ることはなかった。

 ちなみにGrokにも電磁波が及ぼす体の影響について訊いてみたが「人体に影響を及ぼす根拠はないが、解明されていないことも多いので注意は必要」というわりとフラットな回答であった。

 ちなみに楽天市場には、電磁波を遮断するという「板」が6万9千円で売られていた……。

4/29(火)

 きのう電磁波について検索したせいか、LINEなどの広告に電磁波対策グッズがあがってきてしまって気分が落ちる。買わねーぞ。

 きょうは紺野なつさんと伏見でランチ。「家守堂」というクラフトビールのお店で、店内で醸造しているらしく、紺野さんも以前から気になっていたとのことだった。

 またビールの名前も「妖狐」「ゴールドエクスペリエンス」など、自分の中学2年生の部分を刺激してきて、また紺野さんのスマホカバーに『幽☆遊☆白書』のシールが差し込まれていたのもタイムリーで良かった。

 紺野さんとは会ったらだいたい漫画、アニメ、小説の話になるので、酒を飲みながら非常に楽しい。紺野さんの夫は紺野さんと同世代なのだけど、その世代の共通事項ともいえる漫画(ジョジョ、スラムダンク、幽白、ブリーチ、刃牙)などをいっさい通って来ていないらしく、そういう話ができないらしい。

 そういえば夏生さんもスラダン、ジョジョなどのジャンプを通って来ず、マガジンを経由してきたので、意外とそういう話はできないかもしれない。

 その後、『メダリスト』の感想会になだれ込み、さらにおすすめのホラー映画を教えてもらったりと二軒目に行って、その後カフェに行ってもずっと喋りっぱなしで、会ったのも半年ぶりくらいだったのだけど、すごく濃厚な時間だった。

 伏見に来たのは奈良に引っ越してはじめてだったのだけど、近鉄の桃山御陵まで電車1本30分くらいで来れるから大阪にいたときより断然近くなっている。わりとはやくまた来たい。

 晩ごはん、KALDIで買った上海風焼きそば。

 どのあたりが「上海」なのかはよく解らなかったが、まず麺を一度茹でて、その後フライパンで焼き色を付けたのちに皿にとり、野菜や肉を炒めた後で再度それをフライパンに炒める……という説明書きを見ずに買ったので、なかなかたいへんだった。

 王谷晶『ババヤガの夜』かなりテンポよく読める。明日には読み終わりそう。

4/30(水)

 きょうも無心にテレワーク。また10時にアプリを立ち上げて塔の全国大会のための新幹線を早特21ワイドで予約。これで横浜を4千円オフで往復できるぞ。

 本日で1月からGoogle chatで行っていた自分の短歌の講座が終了する。

 去年もやっていたので、去年よりはスムーズにできたけれども、やっぱり緊張感のある、けれども充実した3ヶ月だった。参加者にも恵まれていたとも思う。

 それにしても、最後のテーマ詠の課題が「蕎麦」だったので、ここひと月は蕎麦の短歌を詠みまくっていたため、無性に蕎麦が食べたい。GW中にはどこかで冷たいざるそばをすすりこみたい。

 晩ごはん、鶏むね肉のチリソース煮、冷ややっこ(めんつゆとわさびと天かす)、キャベツとベーコンのお味噌汁。

 王谷晶『ババヤガの夜』読了。すごくテンポがよく読みやすかったし、わかりやすい「悪人」がでてくるのにも安心感があった。ただキャラクターがめちゃめちゃ立っているので、180ページではなく、その倍くらいの分量だったら、とも思えるが、この展開だと続編はきっと難しいのだろうな。

5/1(木)

 きょうからGWの後半戦に入る。はやいですな。

 とはいえ前半、わりと活動してたこともあり、後半は奈良のなかでゆっくりする予定だったりする。

 午前中は株を利確させたり、換気扇と水回りの掃除をしたり。

 午後はネトフリで今さら『べいびーわるきゅーれ』を見る。

 ネトフリをいったん解約してアマプラ一択にするつもりなのだけど、アマプラには『べいびーわるきゅーれ2』しかなかったので急いで見ているという次第である。

 前半、まひろちゃんのコミュ症感に共感性羞恥を刺激されたりなどしたが、面白かった。

 またまひろちゃんが忘れらんねえよのTシャツ着てたり『デュラララ!!』読んでたり、アイテムが細かいなあ、と思うなど。

 エンディングが10-FEETのTAKUMAさんだったのも邦ロックファン的にうれしい。

 晩ごはん、鮭のムニエル、小松菜とベーコンのスープ、冷ややっこ(にんにくしょうゆ)。

 食後、ピクミンブルームの歩数が足りなかったので商店街まで散歩に行く。奈良はGWの夜もわりとしずかであった。

5/2(金)

 きょうは雨。うっすら頭痛があって、午前中は寝たり起きたり本を読んだり。

 午後、プランターでそろそろ新しい野菜を育てたいので、100均に再生用の土を買いに行く。バジルなどの種も欲しかったが、売り場の配置が変わっていて、見つけられなかった。

 夕方、髪の毛を切りに行く。以前よりショートにしたいということで相談したら、いい感じにやってもらえてすっきりした。人生で今がいちばん髪の毛が短い。

 晩ごはんは鶏肉のカシューナッツ炒め、ほうれん草と卵のスープ、冷ややっこ(おろしぽん酢)。

 唐突にこのGWおれはなにも為し得ていないという自責の念に襲われたが、この日記を見返して、いやいろいろやっとるがな、と落ち着きを取り戻す。

 明日は夏生さんと橿原の陶器市に行く予定なので非常に楽しみ。魚をのせるような細長い角皿があるといいな。

(つづく)

■歌人プロフィール

toron*(とろん) @toron0503

大阪府豊中市生まれ。うたの日育ち。塔短歌会、短歌ユニットたんたん拍子、Orion所属。第1歌集『イマジナシオン』(書肆侃侃房)。

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