猫背の犬・自選短歌集
[次世代短歌プレミアム]
■歌人プロフィール
猫背の犬(ねこぜのいぬ) @nekozenoinuinu
本州の端っこでひっそり短歌をうたっています。筆名の由来は単純に猫背で犬が好きだから。ちなみに猫も好きです。目薬をさすのが苦手で間違えて他人の目にさした事があります。
[猫背の犬・作品集]
自選短歌集
猫背の犬
寝る前にNow Loadingと呟けばきっと朝には完璧な俺
「傘」の字で雨宿りする人達がずっと仲間でありますように
手を挙げて無言の同意を否定する君は誰かの避雷針だよ
クローバー界では四葉も異形だし君には君の価値があります
風鈴をこんな綺麗に狂わせて嵐はどんな宗教だろう
よく馴染むウィッグを選ぶ明日からはヤドカリとして生きていくのだ
「見て、ハート」雲を指差す病室の君の形をずっと見ていた
さよならのつもりで撒いた撒菱を君はしゃがんで拾い始める
野良猫に化けて出るねと言っていたあなたのせいで長くなる帰路
傷ついたあなたを少し休ませるため靴紐はたまに解ける
アニメ化で描かれなかった悪役の「覚えてろよ!」を覚えているよ
行使するあてもないので「一生のお願い権」をメルカリに出す
レッカーで運ばれてゆくはとバスが乗客として巡る東京
これ以上頑張らないと決めてから待合室は森の涼しさ
なんとなく水をあげてた花が今ありがとねっありがとねって咲く
書き順のおかしな人が書く「道」の他の誰とも違う道のり
クラTを次は寝巻きとして着れば私の部屋はずっと学祭
「暖冬」で片付けられた風邪気味の冬のおでこを探す陽だまり
わがままとパパに言われてそれからは光って見えなくなるトイザらス
人はいつ大人になるの?お母さん、今日晩ご飯食べて帰ろう
表情筋全ては君のためにある 渡り廊下を揺らすスキップ
花束を抱えて帰るどうせなら君ごと抱いてしまいたかった
四つ折りを開けばできる十字路のどちらに行けばあなたに会える
柔らかいシャワーヘッドを探す君 ドンドンドンキ守ると決めた
同棲をやんわり提案された日のこれまで以上に輝くニトリ
唇は言葉の港「好きです」は出てったきりでかえってこない
失恋の途中と気づく「だけど」って言われるまでの賛辞の中で
君の書く変な&が好きだった 回転ドアを別々に出る
本当はめっちゃ寂しい ブランコで月を何度も蹴るだけの夜
あとがきで救ってほしい脇役がハッピーエンドの裏側にいる
(猫背の犬)
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