【連作】水町春「夏の背」

今日は水町春さんの連作「夏の背」をおとどけします
次世代短歌 2024.07.18
読者限定

[次世代短歌プレミアム]

■歌人プロフィール

水町春(みずまちはる) @_haru22

2021年より作歌を始める。無所属。

[連作]

夏の背

   水町春

明日から梅雨明けらしい スカートを一段折ってみる また戻す

高かったヘッドホンから迸る火花のようにナンバーガール

この雨もやがて空へと還るからぐるぐるまわる輪廻みたいに

均等に仕切られている傘立てに入らなかった折りたたみ傘

おはようと言えばおはよと返されて夏服の裾ゆらす友達

似たような後ろ姿の私たち選別される果実にも似て

なんとなく笑っていればそれなりの高校生としては楽しい

鳥かごと思えば錆びた屋上のフェンスに触れて羽は汚れる

図書室を漂っている細胞のひとつひとつが息を潜めて

それなりはそれなりだよとそれなりの説明をする六時限前

白球の打ち上げられる音がして誰が打ったのかは分からない

何時までが放課後なのか考える 帰りに寄った島村楽器

振動は電気に、やがて音になる十七の胸ただ震わせて

たたまれた翼のように新品のエレクトリック・ギターを背負う

放課後を橙色に染めてゆく感傷的な夕焼けのサビ

(水町春)

***

[自選短歌集]

水町春自選短歌集

横顔は横顔のままこの夏があの夏になる線香花火

この記事は無料で続きを読めます

続きは、112文字あります。

すでに登録された方はこちら

誰でも
月詠「毎月短歌27」の締切迫る
誰でも
毎月恒例「自選短歌月まとめ」「短歌連作月まとめ」開催中
誰でも
短歌ネプリ『かもねむ』セブンイレブンでの出力は明日9/18まで
誰でも
短歌の夏、開催中です
誰でも
短歌で結婚おめでとうを伝えよう(題詠企画「港」「もちもち」)
誰でも
第24回毎月短歌・三首連作部門(選者:片山晴之さん)
誰でも
【AI歌壇】第24回毎月短歌・6月の自選部門・AIによる選評と音声配信...
誰でも
【もうすぐ締切】コミュニティ発の短歌企画